ごめん、好き。

「忘れたとは言わせません……!」

間違っても胸が再び騒ぎ出さないようにキッと平野さんを睨む。


コーヒーカップをコトッと優しく置く、大きくて骨ばった手でさえつい目で追ってしまうのだから。


「やっぱりキミだったんだ」

近くで聞く平野さんの声に、どれだけ強がっても胸の奥がジリジリと小さい音を立てようとしてくる。



「あれは過ちです」

「過ちって……大袈裟過ぎないか?」

フッと笑った表情が嘲笑うように見えて、私は目を見開いた。

「んなっ!?あんなことしておきながら……!!」

「未遂だろ。頑なに拒むから何もしていない」


そう。
ベッドに降ろされた後、私は頑な拒んだのだ。


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