幸せになりたい神様を拾いました
「変化を感じるか?」


お酒を浴びるようになって1週間程経った時、暇そうにテレビのチャンネルを変えながらイザナギが聞いてきた。
聞いてきたくせに、その顔は明らかに確信があって聞いているとわかる表情をしている。


「うん、身体が軽い。」


「守護を付けてはいるが、お主の修業の為にごく僅かな軽い穢れは通すようになっている。だがそれを蓄積させない為に1日の終わりに俺が飲んだ酒を浴びれば穢れを祓える。りふれっしゅ、というやつだな。」


覚えた言葉をぎこちなく、得意げにふふんと鼻を鳴らす神様。


「ねぇ、イザナギ、イザナミって、どこにいるの?」


ガチャガチャを回したが為に、拾ってしまった神様の願い事は、『妻のイザナミ』を探して欲しいという事。
それなのに、イザナギはイザナミについて語ろうとはしない。


「・・・わからん・・・だがこの町にはいる・・・。」


テレビを見つめ、リモコンでチャンネルを変えながら、定まらないのは心が落ち着かないからか、観たいの番組がないからなのか。

「・・・どういう人・・・どういう姿なの・・・?私、見たらわかる?」


「あぁ・・・佐智ならわかるだろうな。」


「イザナギ、こっち見て。」


いつも堂々と豪快なイザナギが、居心地悪そうに仕方なしに私を見た。
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