LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「こないだ行った所は、辞めません?
私も中に入る迄忘れてましたけど、
前に撮影で一回来てたホテルなんで」


「そう?
けど、俺、そこの辺りも覚えてねぇからなぁ」


「本当に、覚えてないんですか?」



「ああ。
お前がAV女優だって事は覚えてるし、送り迎えしてた事とか。
けど、そうやって、具体的な撮影場所や、お前のその撮影中の事とか、
マジで、一切思い出せないんだよ。
他の子のは、覚えてんだけど…」



「そんな事ってあります?」



成瀬は、一種の記憶喪失になったみたい。


それは、私がAV女優としての、仕事中の事に関してだけ、
すっかりと記憶から抜け落ちたらしい。


その要因は、飛び降りたあの時、
頭を強く打って…っていうのが、
医者の見解みたいだけど。


本当に、そんな事ってあるの?


「まぁ、忘れたい事忘れられたんだから、
それでいいんじゃね?」


そう言われると、そうかもしれないけど、って思ってしまう。




「けど、ホテル代もバカになんないし。
一緒に暮らさないか?」



「部屋借りる初期費用とかあるんですか?」


「それは、お前の貯金とか…」


「最低。
篤は私と暮らす時、ぜーんぶ出してくれたのに」


「は?
それって俺を売った金だろ!」


「そうだと思いますけど!」


そう言って、成瀬と目を合わせ、
笑い合った。


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