LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「篤、約束覚えている?」


「約束?」


篤は首を捻っていたが、暫くしてその約束に思い当たったのか、
その顔を紅くした。


‘ーー篤の誕生日に、しようよーー’


「約束って、お前が勝手に言ってただけだろうが」


そうやって拒む篤に、何も無ければ、私は引き下がったかもしれない。


また、今度の機会でもいいと。


別れると決めた私には、もうその機会がない。


最後に一度だけ。


「私が、篤を欲しいの…」


そう告げて恥ずかしさから俯く私の体を、引き寄せるように、篤は抱き締めた。


「お前の部屋か俺の部屋、どっちにすんだ?
それか、もうこのまま此処でお前の事押し倒すか」


「じゃあ、篤の部屋がいい」


篤は私がそう言い終えると同時に、
立ち上がり、私の体をひょいと抱き上げる。


それは、お姫様抱っこっていうやつで。


篤と目が合うと、照れ臭くて俯いてしまう。


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