政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 うちのシステム課だけじゃなく、親友のひとりである氷室仁のセキュリティ会社にも協力を頼んで徹底的に社内のコンピューター全てのチェックをした。

 結果的には事なきを得たが、思い出しただけでゾッとする。でるわでるわ、警備員用のパソコンからアルバイト用のパソコンまで、あらゆるところから怪しげなプログラムが出てきた。

「うちのジジイがまんまと織田の狸親父に騙されるからこんなことになったんだ。ったく」

「加郷は織田の紹介で会長が入社させていたんですよ」

 宗方の説明に、コウも鈴木も苦笑を浮かべる。

 システム課の社員は厳しい身辺調査をするはずが、会長自らノーチェックで入社させたのだから誰にも文句は言えない。

「オヤジはコンピューターの怖さがわかっていなかったんだ」

「でも、事前に怪しんでいらしたそうですね? そのおかげで対応が早く被害を免れたとか」

 鈴木の言う通りだ。一日遅ければ多少なりともデーターの流出や破壊は免れなかったかもしれない。
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