王子と姫の狂おしい愛
結局、一晩中手が離せなかった二階堂。
ずっとベットの下に跪いて、二階堂もそこで眠ってしまった。

夜が明けてすぐ、椿姫の部屋に彩姫子が静かに入ってくる。椿姫の状態をみに来たのだ。
椿姫と二階堂の姿に、一瞬…目を丸め驚くがすぐにフフ…と微笑んだ。
その姿を見ただけで、二階堂の椿姫への想いに気づく。
椿姫の元に静かに近づき、頭を撫でて呟いた。
「椿姫…やっぱりママは、許さないわよ…琥珀さんだけは……あの女の息子だけは…」
そしてまた静かに、部屋を後にした。

それから一時間後、二階堂が目を覚ました。
「あ…まずい……ここで眠ってしまった…
ハッ…椿姫様は…!?」
椿姫を見ると、穏やかな寝息でまだ眠っているようだ。ゆっくり繋がれた手を離す。
無防備な姿に、思わず顔が緩む。
「綺麗だ……」
無意識に椿姫の前髪に触れた。
そしてそのまま頬、口唇に触れた。

「……っつ…」
一度触れると、我慢ができない。
もっと触れたい、このまま抱き締めて、腕の中に閉じ込めたい。
「ん…二階堂…?」
「あ…椿姫様……ご気分はどうですか?
熱…測りましょう」
「うん…なんだか軽くなった気がする…
琥珀は?」
「別のお部屋をご用意して、そちらに移っていただきました」
「そう…迷惑かけたわね……
二階堂もこんなに早くから、ごめんね…
ちゃんと休んだ?」
「はい…大丈夫ですよ?」
「よかった…
でも、不思議……」
「え…?」
「ずっと…傍に誰かがいてくれた感じがしたの。
夢の中の話かな…?」
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