意地悪な部長と私
それからしばくして、注文したメニューが揃った。


部長の前にはデミグラスソースのハンバーグ。

私の前にはグラタン。


グラタンを見るだけで吐き気がする。

昔はあんなに好きだったのに。


「どうした?食わんのか?」

「あ、いえ…いただきます」


はぁ、一口がこんなに辛いなんて。

昔ならグラタンはすぐなくなっていた。


それほど大好きだったグラタンが、こんなにも苦しむことになるなんて…


私は意を決してグラタンを口に運ぶ。

しかし、飲み込んだ瞬間ダメだった。


「おい、相原!」

と、部長の声が聞こえるが返事してる余裕なんて私にはない。


急いでトイレへ駆け込む。

苦しくて、気持ち悪くて、嫌になって

私は吹っ切ったつもりでいた。

でも、実は吹っ切れてなかったみたいだ。
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