白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~
 しかもふたりは、いつか私を嫁にしようとしている、なんて……!

 そんなの、現実に受け入れられるわけないじゃん!

 って思うけど、お父さんもお母さんもふたりをここに住まわせることに決めちゃったし……。

 娘である私は嫌でもこの環境に慣れるしかない状況なんだ。

 私は重い体で立ち上がると、学校の制服に着替えて簡単に身支度を整え、のろのろと部屋を出る。

 とりあえず朝ごはん食べて、学校行かなきゃ……。

 友達がいる学校に行けば、猫神候補やら黄金の猫じゃらしやらっていう、ファンタジーな現実からは逃避できる。

 こんなに学校に行きたいって思ったのは、生まれて初めてかもしれない。

 居間に向かうと、すでにちゃぶ台には我が物顔の白亜と黒霧がついていた。

 お父さんは戸惑った顔をしながら二人の様子をうかがっていて、お母さんはニコニコしながらお茶碗にご飯をよそっている。


「おはよう、枝乃」

「おい枝乃。お前起きるの遅いな」


 私の姿を見るなり、爽やかな笑顔で挨拶してくる白亜と、やんちゃそうに言う黒霧。

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