オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
彼の動きも止まったかと思えば、腰を抱いていた手も離れて行った。

愛なんてなく、唯欲だけを満たす情交。

着衣の乱れを整えると隣で物憂げに煙草を吹かしていた。

彼のスーツには全く乱れがない。乱れていると言えば、髪型ぐらい。


「何?」

「別に何も…」

私は気怠そうに前髪を掻き上げる。

煙草を吹かし終えると、持っていた錠剤を口に放り込んだ。
清涼菓子にしては大きい。
「何の薬?」
「デパス。知らない?精神安定剤だ。
これがないと困るんだ…あ…部長に内緒なっ・・・」

「・・・」

「先に行く…」
彼は低い声で言うと先に資料庫から出て行った。



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