オフィスの華(令和版)Episode.0~スノードロップ~
「栗原…」

俺は栗原を執務室に呼び出した。

「どのような用件ですか?部長」

「お前…精神安定剤を服用しているのか?」

「…俺は医者ですし。薬のコントロールは出来てますから…ご心配には及びませんよ」
「しかし…」

デパスは医者に量をコントロールされていても、服用期間が長ければ長い程、離脱症状に苦しむ。
つい前では直ぐに処方された薬剤だが、その離脱する時の深刻な患者の状況を踏まえ、次第にその処方には注意が必要となった。


「兄貴にやられたのか?」
俺の兄はモラハラ気質の人間で、相手のメンタル部分を容赦なく責める。
俺は何とか耐えたが、妹の花蓮(カレン)はやられてしまい、劣等感を俺以上に植え付けられて、引きこもりとなった。
見兼ねた父が兄を溺愛する母と別居して、今は自信を何とか取り戻して、大学に通っていた。

「別に…俺が服用を始めたのは貴方のお兄さんに会う以前からです…」
「それでも…上司である俺にはキチンと薬の服用を申し出て欲しかった。
把握していれば俺も対処が出来た。お前に負荷だって掛けなかった」

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