竜王様、ご飯の時間です and more ! 〜竜王様と転生メイドのその後〜
 お城に着くと、ウィスタリアさんやフォーンさんという見慣れた顔ぶれが出迎えてくれました。
「お帰りなさいませ、竜王様」
「うむ」
 竜王様が纏っていた外套をサッと受け取るフォーンさん。そのまま竜王様の後を追ってエントランスに入っていきました。少し遅れて、私とウィスタリアさんが後をついていきます。
 竜王様は、お城のみなさんも待ってるって言ってたけど、私みたいなポンコツかつトラブルメーカー、本当に歓迎されるのかしら。フォーンさんはいつも通り、私の存在無視な感じだし、ウィスタリアさんはお仕事用のポーカーフェイスだし……う〜む、わからない。
 不安になって、ウィスタリアさんの横顔をチラリと盗み見たら。
「ライラ、お帰りなさい」
 小さく囁いてくれました。
「すみません、戻ってきてしまいました」
「あら、謝る必要はないわ。だって、竜王様たっての希望なのだもの」
 そう言って微笑んでくれると、やっと安心できた気がします。
「ウィスタリアさん……っ!」
 感極まった私が目を潤ませていると、前を行っていたフォーンさんがクルッと振り返って。
「私は反対したんだがな! しかし、竜王様がどうしてもとおっしゃるから、渋々認めたんだ。ま、まあ、あのミソシルが飲めるのはありがたいがな」
「フォーンさん……」
 相変わらずツンデレか。
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