地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「まあ、確かに大人っぽくしたかな? だって、日高くん背高めだし、本来の顔もどっちかって言うと大人っぽいでしょう? だから合わせてみたんだ」

 と、見上げて言うと何故か日高くんは表情を固まらせた。


「ん? どうしたの?」

「……いや、何でもない」

 なんだかついこの間も似たようなことがあったような?


 そんなことを考えていると、ひとつ咳払いした日高くんが質問してきた。

「それはそうと、お前本気なのか?」

「へ? 何が?」

「俺にメイクするための場所だよ。最初聞いた時もマジでいいのか聞き返したけどよぉ……。本気で良いのか?」

「ああ、そのこと?」


 何かと思えばそんな事か。

 SNSでの会話で納得してくれてたと思ったのに。


「本当に大丈夫だって。お父さんもお母さんも今日はフルタイムで仕事だし、メイクするなら自分の部屋の方が道具も揃ってて完璧に出来るし」

「いや、俺が言いたいのはそこじゃなくてだな」

 と、日高くんは何やらまだ言いたげだったけれど、もうついてしまった。


「あ、ここがあたしの家。さ、入って」

「……はあ、分かったよ」

 溜息をついて諦めたのか、日高くんは素直に家の中に入ってくれた。
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