地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 人数分のレモン水を持って来てくれたマスターは、「待っててね」と言って奥の調理場の方へ姿を消す。

 それを見送っていた花田くんが、ポツリと呟いた。


「何か、ああいう人っていいよな」

「へー、花田の好みってああいうのなんだ?」

 思ったことをすぐに口にしてしまう沙良ちゃんが言うと、小林くんが反応する。


「何? 人妻が良いの? 司ってハレンチー」

「んなわけないだろ!」

 小林くんも本気で言ったわけじゃないだろうけれど、花田くんは強めに否定の言葉を口にした。


「まあ、でも好みってのはちょっと合ってるかも。ああいう面倒見の良い人が昔から好きだったから」

 そう言ってレモン水を飲む花田くん。


 思いがけず花田くんの好みのタイプを知れた。

 これは後で女子だけの作戦会議が必要だろう。


 みんなもそう思ったのか、揃って視線を合わせてアイコンタクトをしたのだった。
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