地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「だからって、ボディタッチ激しすぎると勘違いしかねないからね? 部屋に連れ込むとかも止めといた方が良いよ」

 具体的に言うと、日高の頭がピクリと動く。

 まさか……。


「もう連れ込んだとか言わないわよね?」

 頬が引きつる。

 でもそう言って見た日高の目は、気まずいというより遠い目をしていて……。


「昨日な、来るかって言ってはみたんだ……」

 そして自嘲の笑みを浮かべる。


「そしたらOKされてな……。警戒心なさ過ぎて逆に俺の方からやっぱり駄目だって言う羽目になった……」

「……うわぁ……」


 灯里、あんたそこまで鈍感だったとは……。


 あたしは初めて本気で日高に哀れみの目を向けたのだった。


 その後は何となく話も出来ず、すぐにブローをして髪を切るのを終える。

 地味男なままで、少しはサッパリしたように見えるだろう。


 日高は出来に満足してくれたのか、感心しつつ「サンキュ」とお礼を言ってくれた。

 そしてあたしは「まあ、色々頑張って」と励ましの言葉を添えて見送る。

 見送りながら、日高と灯里のカップルは日高の駆け引き次第なのかなぁなんて思ったのだった。

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