地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「俺が総長やってた時に歩き回ってた街だぞ? ボロが出ても困るから黙ってたんだよ」

「あ」

 そうだった。

 日高くんの地元という事はそういう事で、元不良仲間がいてもおかしくない場所なんだ。


「それで口数も少なかったし、考え込んでいたんだ?」

 確認のためそう聞くと、日高くんは「ああ」と返事をしつつ浮かない顔をしている。

「何か心配ごとでもあるの?」

 続けて問うと、眉間にしわを寄せながら答えてくれた。


「まあ、平日だし同中の奴らとかはいねぇだろうけどよ。火燕のメンバーの大人組とか、敵対してたやつらとかは出歩いてねぇとは言い切れねぇ。いくら地味な格好してるとは言え、気付く奴は気付くしな……」

 と不安を吐露する。


「……気にし過ぎじゃない?」

 普通に校外学習していて、不良に絡まれるなんて想像もつかない。

 あたしがそう言うと、日高くんも「そうは思うんだけどな」と返しつつあたしを見た。
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