地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 理屈は分からないまでもない。

 でも屁理屈と言われてしまうと否定も出来そうにない。


「ちなみにヘアセットであたしも実演するつもりだから」

 そう言う美智留ちゃんに、自分がやりたいだけなんじゃ……と思わなくもない。

 そんなあたしの気持ちを察したのか、彼女はあたしを真っ直ぐ見て笑う。


「ね? 灯里もやってみたくない?」

 やってみたいかどうか?

 そう聞かれたら答えは迷うまでもない。


「やってみたい。……でも……」

 色んな人にメイクをするチャンスだ。
 やってみたいに決まってる。

 でも、校則のせいもあって受け入れてもらえるかどうかは……。


「でもさ、それ反対するやつも多いんじゃないか? メイクに興味のない男子とか」

 あたしの不安を言葉にしたのは小林くん。

 確かに男子は特に、だろう。

 カッコ良くなりたいとは思うかもしれないけれど、美しくなりたいとは思わないだろうから。
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