地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 だから、両想いでも堂々と付き合っている何て言えない。

 あの群がる女子に突っ込んで、陸斗くんに近付かないで何て言えない。

 それがもどかしくて、どうしてあたしはもっと早く想いを伝えていなかったんだろうと後悔する。


 唯一の安心材料と言えば、囲まれている陸斗くんが本当に嫌そうな顔をしているってことだ。

 顔に寄ってくる奴がウザいと言っていたけれど、どうやらかなり本気で嫌がっているみたい。


 あれはどっちにしろ助け舟が必要かも知れない。

 段々無理矢理“待て”をさせられている猛獣の様に見えてきて、爆発する前にあの囲みから助けないといけないと思った。


 陸斗くんには日焼け止めになるものを見繕ってあげないとと思っていたし、一緒に帰ろうと言えばあとは着いて来てくれると思うから。

 そう思って支度を急いでいると、メイク道具がちゃんと揃っていないことに気付いた。
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