地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
 前まではそれで良かったんだけど、まともに働こうと決めたからにはそうもいかない。

 好きになった子のことを理解するためにももう少し普通に慣れないと……。


 そんな風に考えながら美智留ちゃんの近くで畳む作業を続けていると、彼女がポツリと呟いた。

「……あたし、あなたにどう接するべきか迷ってるんです」

「ん? どうしたの、いきなり」


 今までも表面的な会話だけなら幾度かしてきた。

 でも、今の会話は少し込み入った言い方な気がする。


「話に聞く分には、貴方は灯里と日高にとっては邪魔者で、校外学習の時に灯里を連れ去った人の仲間で……いわゆる悪者って感じだったんです」

「……」

 悪者ね……間違ってもいないんだろうけど……。

 って言うか、主にそれあのバカの所為じゃなかろうか。


 独り立ちした後も迷惑を残してくれるとは、あのバカは本当にはた迷惑な奴だよな。

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