地味同盟〜地味男はイケメン元総長〜
「何も言わねぇから、もしかして似合ってねぇんじゃねぇかと思ってた。……ありがとな」

 その言葉に、もっと早く言ってあげれば良かったと思う。

 本当に、あたしはいつも少し遅い。


「もっかい言うけど、お前も似合ってっからな? 似合い過ぎて、他の誰にも見せたくねぇくらいだ」

 そう言って近付いて来る陸斗の顔。

 後半は(ささや)きに変わっていた。


 あたしは目を閉じて陸斗を受け入れる。

 されるがままに身を預けた。


 何度も唇を重ねたせいで、尚更離れがたくなってしまったけれど。



 そんな風に、ちょっとしたハプニングもありつつ素敵な浴衣デートは終わったのだった。
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