桃色溺愛婚 〜強面御曹司は強情妻を溺愛し過ぎて止まらない〜
似合う似合わないかで言ったら、やはり似合わない気がする。どちらかと言えば可愛らしい造りのこの喫茶店に、強面の匡介さんを違和感なく組み合わせる方が難しいと思うし。
今の言葉からすると、匡介さんの方がこのお店に入るつもりだったようにも聞こえるけれど彼は本気なのかしら?
でもハニートーストの甘い香りが気になって、私もついついお店の中を覗いてしまいそうになる。
「杏凛。ここに寄っていきたいんだが、構わないか?」
「……ええ。でもここはハニートーストがメインのお店で」
この店に匡介さんが好んで食べられるようなものがあるのだろうか? 好き嫌いはあまりないと聞いていたけれど、匡介さんからスイーツはちょっと想像出来ない。
だけど……
「それは知っている、しかしそれが何か問題があるのか?さあ、入ろう」
そう言ってさっさと喫茶店の中へと入ってしまう匡介さん、私も慌ててついて行く。
思ったよりも店内は人がまばらで、私と匡介さんは奥の席に案内された。やはり可愛らしい内装に、強面の彼は浮いているように感じるけれど……
もしかしてこれから匡介さんとハニートーストの組み合わせが見れるのかもしれないと、少しワクワクするような気もしていたり。
「匡介さんは決まりましたか?」
可愛らしいエプロン姿のウエイトレスから渡されたメニューを見ながら彼に話しかける。意外と種類が豊富で迷ってしまう。
「ああ、杏凛は? 決まっているなら店員を呼んでもいいか」
「あ、はい。お願いします」
そう返事をすると匡介さんはすぐにテーブルの上の呼び鈴を鳴らした。