魔法の恋の行方・魔女の告白(シリーズ4・バージルとレティシア)
<キャラウェイの別荘・バージルの寝室・17時>

バージルは
ゆっくりと立ち上がり、
ベッドで横たわっている
レティを見下ろした。

レティは天井を見ていた。
その瞳は
エメラルドグリーンの色を保ち続けていた。

しばらく間があったが
バージルはベッドの脇で片膝をついた。
そしてベッドの端に投げ出されている、
レティの手を取り
自分の(ひたい)に触れるようにして

「レティシア・カサンドラ、
君に私の生涯をささげよう。
そして忠誠を誓う。
私の妻になってほしい」

レティの声が震えた。
「・・・バージル、よく考えろ
私は魔女で、できそこないで・・」

バージルは姿勢を崩さずに、
結構大きな声で言った。

「イエスか、ノーか、
はっきりしろ!」

レティは泣いていた。
迷子の子どもが、やっと親を見つけた時のように。
そして、
ベッドから起き上がり、
バージルの首に、しがみつくように抱きついた。

「ああ、私の・私だけの魔女・・」
バージルはレティを強く抱きしめた。

こうして、
魔女のレティシア・カサンドラは、
バージル・キャラウェイに食われることになった。

それは深い海のように、
すべてを飲み込み・・・
波が引いては寄せるように、
深い陶酔と愉悦を、バージルに与えた。

抱きしめた魔女からは、甘い香りがして、
何もかも忘れさせた。

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