碧天の下で、純白の球、夏に泣く。

side 斗蒼




「っ御白!!」

「ん‥斗蒼くん‥?」



ずぶ濡れのまま、走ってやってきた病院。


そこには、
凄い数のチューブに繋がれた御白がいた。


とても痛々しい姿に、
心が引きちぎられそうになる。


「御白、無理すんな‥。」


ゆっくり、起き上がる御白。



「斗蒼くん、試合は‥?」

「今、雨で一旦中止になったからきた。」

「雨‥。」


「俺の試合のことなんて気にすんな。」
「大人しく寝ていてくれ‥!」
そう、言いたかった。



でも、

「勝ってね、決勝。」



言えなかった。

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