一人ぼっちだった僕と優しい君
「……」

退屈で色褪せた今日が、また始まった。

学校に着いて、僕はすぐに屋上に向かう。チャイムが鳴るギリギリまで、僕はいつも屋上でぼうっと町を眺めてるんだ。

屋上に向かってると、誰かとぶつかってしまった。スリッパの色を見る限り、先輩だ。

「……すみません……」

僕が謝ると、上から「大丈夫?」と声がして僕は顔を上げる。先輩は、心配そうに僕を見ていた。にこりとも笑わない僕を、先輩はじっと見つめる。

「……少し保健室に行こうか」

先輩は、そういうと僕の腕を引っ張って歩き始めた。僕は、抵抗するわけでもなく大人しく先輩の後を着く。

途中同級生とすれ違ったんだけど、同級生はその友達と小さな声で何かを話しながら歩いていった。

「……失礼します」

保健室のドアを開けながら、先輩はそう言って中に入る。

「ん?大輝(だいき)くん、どうしたの?」

「……先生、実は……この子の話を聞いてほしくて……」

先輩の言葉に僕は心の中では驚いたけど、表情には出さない。

「……君は、確か1年生の玲央(れお)くんだね」

「……はい」

先生の言葉に、僕は頷いた。

「大輝くん……この子の話を聞いてほしいって、どういうこと?」
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