ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
「何を、していたのかしらね……」
漏れ聞こえた意味深な柚瑠木さんの言葉に、色んなことを想像してしまいそうになるわ。常にストイックな雰囲気を持つ柚瑠木さんが見せる、男性的な一面にきっと今頃は月菜さんも……
そう考えると、自分の事でもないのに胸がドキドキしてきて落ち着かなくなってしまう。
「ああ、今夜は二人の事が気になって眠れないかも……」
「それもいいかもな」
ソファーに座った聖壱さんから腰に腕を回され、グイっと引き寄せられてしまう。そのまま私の後ろ髪を避けると、何度も項や首筋にキスを落としてくる。
「あ、なに……?」
身を捩って逃れようとしても、彼の力強い腕に捕らわれては逃げることなど出来ない。諦めて彼に身を委ねると、聖壱さんの大きな手がシャツの中に入ろうとする。
どうやら柚瑠木さん達の会話を聞いて、彼までその気になってしまったらしい。私は聖壱さんの手首を掴んでそれ以上の行為は駄目だと伝える。
「今夜も、駄目なのか?」
あのお仕置きの日から今日まで、私は身体に触れることを許さなかった。あからさまに肩を落とす聖壱さんを見て、しょうがないわねと思いながら今回はもう許してあげることにする。
「……お風呂、もう沸くから」
そう言って準備していた聖壱さんの服を渡し、自分も服を持ってバスルームへ向かう。ポカンとしたまま私を見つめる彼に……
「一緒に入らないの?」
と聞けば、急いで立ち上がり私に抱きついて来る。俺様な聖壱さんが私にだけ見せてくれる可愛い一面、これも悪くないわ。
私にそんな余裕があったのは、浴室のドアを閉めるまでだったけれど。