ずっと甘溺愛婚 ~それでも性悪お嬢様は俺様御曹司に溺愛される~
それでもなんだかんだと聖壱さんや沖名さんのサポートがあり、産休に入るまで無理のない仕事をさせてもらうことが出来た。
だけど聖壱さんは立ち合い出産を諦めきれないようで、何度も雑誌を見せて私を説得しようとしたりして。
「ほら見ろ香津美、立ち合い出産すると父親の自覚が出るって」
「心配ないわ、父親の自覚が出るのは生まれて触れ合っているうちにでも構わないもの。そんなことより、そろそろ決めてもいいんじゃない?」
私はテーブルの上に置きっぱなしだった名付け本を聖壱さんに渡した。もう臨月になるというのに、結局二人ともお腹の子の名前を決められないままで。
性別を教えましょうか、と医師に言われたけれどあえて聞かなかったの。産まれてくるときの楽しみにしましょうって、聖壱さんと話し合って決めた。
「分かってるよ、だけどそう簡単に決められないだろ? ああ、女の子だったら未菜、それとも佳奈……」
これは決まりそうにないわね、まあ産まれてから少し考える時間もあるし何とかなるでしょう。それよりも今は……
「ほーら、そろそろ月菜さんと柚瑠木さんが来る時間になるわ。いつものハーブティー、お願いね?」
時計を確認して、聖壱さんを連れてキッチンへ。今ではお茶を淹れるのは聖壱さんの役目になって、私はそれに合うお菓子を用意するだけ。
皿に並べたお菓子をテーブルに置くと同時にインターフォンが鳴った。