【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

「彼女は?」 首だけ動かして頭を下げる女性に目を向けると「城田 (カオリ)さん。 今年新卒で入社した社員よ」
かおりさん。と呼んだ口調には少しだけ侮蔑が混じっていた。

「へぇ、岸田ちゃんと同じ名前?」

「同じ名前でも漢字は違うわ。 それに彼女と一緒にしないでよ。 あんまりうちの部署でも評判のよろしくない子なの。
良い大学は出ているんだけど、あの容姿でしょう? あの容姿ならばせめて愛想の一つでも良けりゃあまだ救いがあるんだけどね。」

’あの容姿’の意味はいまいち分からないが、派手さはない子だ。 レナや岸田ちゃんのように生まれ持った花はない地味な女の子だ。

ダークグレーのスーツに、スタイルはあまり良くない。どちらかと言えばぽっちゃりだ。  大きな黒縁眼鏡で覆われている素顔は余り良く見えない。

「じゃあ、海くん私行くわ。 一応教育係なの。 」

「ああ、またね。」

部長の元へと岸田ちゃんが駆け寄ると、あからさまに彼は表情を変えた。
珈琲の紙コップをゴミ箱に捨てて、その場を後にする。

容姿なんて実に下らない話だ。 女性のいう美しいや不細工の基準は俺にはいまいち理解出来ない。

レナにも初めて会った時綺麗だけど、そこまで惹かれはしなかった。 ほっくんを通して彼女を一緒に過ごしているうちに、その一途な想いが伝わってきて何て可愛らしい女性なのだろうと思った。

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