【完】素直になれない君と二度目の溺愛ウェディング

いつものように騒がしい雰囲気ではなかった。 どちらかといえば神妙な雰囲気で、彼の真剣さが胸にちくりと突き刺さって何故か締め付けられるような想いになる。

実はここ数日意識をしていた。 ふとした瞬間に考えて、今日だって誰かの為にお弁当を作るのは初めてだった。

お弁当を作っている時も海が嬉しそうな顔を見せてくれる事を想像すると、頬が緩んでいった。 手を繋がれた時は手汗が気になってドキドキしたけれど、全然嫌じゃなかった。 離されるのが寂しかった。

「あの、少しだけ考えさせて欲しいのだけど……」  青信号に変わってエンジンをかけるのと同時に前を向いて言った。 言った後にありえないほど心臓がドキドキと脈打っている事に気が付いた。

「え?!」

「だから少し考えさせて欲しいって言っているのよ! 何度も言わせないで頂戴!」

「それって、俺少しは希望持っていいって事?
え、マジで?超嬉しいんだけどー!ばんざーい!」

途端にはしゃぎだして賑やかな声が車内に響き渡る。 げんなりしたようにわざとらしくため息を吐いてみる振りをするけれど、自分の気持ちが少しずつ変化しているなんて自分が一番驚きなんだ。

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