コスパ婚
前回のあらすじ。
同じ会社の後輩・藤城くんと婚活サイトでマッチングし、(半ば強制的に)結婚することになりました。
「いい天気ですね」
「ソウデスネ」
快晴の空が眩しい、大安吉日の土曜日。藤城くんにプロポーズされた日から3日後、一緒に役所に婚姻届を提出することになりました。
いくらなんでも展開が早過ぎるー。
「ご結婚おめでとうございます!こちらは市からのお祝いの品でございます」
結婚届を受理した担当職員からよくわからんマスコットキャラのボールペンやらメモ帳やらを貰って、ものの5分で手続きが完了した。
「意外と呆気ないものでしたね」
「そうね…」
アッサリと手続きが終わり、拍子抜けする。
私、本当にこの人と結婚したんだよな?というくらい現実味がわかない。
「さて、と。ではこれから、新居に向かいますか」
「え?新居?」
「ええ。カモフラージュの為にしばらくの間そこで生活していただきます」
てっきり別居だと思っていたので、何も用意していないし心の準備もしていない。
しかし予め彼が呼んでいたタクシーに乗せられ、あれよあれよと言う間に新しい家へ着いた。
「こちらです」
タクシーが停まったのは都内の一等地にある超高層マンションだった。
一般庶民には馴染みがなさすぎて「わ〜おっき〜」という月並みの感想しか出てこない。
「20歳の誕生日に親がプレゼントしてくれて。会社から少し遠いので、売り飛ばそうかと思っていたんですがちょうどよかったです」
「そうなんだー」
もはや何も驚かないし、ツッコんだら負けだと心を無にする。
部屋の中に入るとやっぱりというか予想通りの光景が広がっていた。
「こちらがバスとトイレ、こちらがリビングです」
ここは帝国ホテルのスウィートルームか何かか??ってくらい二人で生活するには十分過ぎるほどの広さと質のいいインテリアに囲まれていた。
しかし、問題はそこではない。
「ちなみに、寝室は別々よね?」
「1つしかないですけど」
ドン!!!
思わず、高給マンションの壁を殴ってしまった。
騙された…やっぱりこんなうまい話があるわけがないんだ…今から私はこの人に乱暴されてしまうんだ…と打ちひしがれていると、まるで悪戯が成功した子供のように藤城くんは笑っていた。
「冗談です。あなたの部屋は別に用意してありますよ」
「へ」
家を出て直ぐ隣の部屋に案内され、呆然とする。
全く同じ間取りの部屋が2つ。
それってつまりー。
「もしかして…このマンション全部…」
「はい。僕が大家なので、家賃も光熱費も全てタダです」
「これからどうぞよろしくお願いします!!!」
掌を凄い勢いでひっくり返す。
どうやら私は、めちゃくちゃ“コスパ”のいいSSRの結婚相手を引き当ててしまったらしい。
同じ会社の後輩・藤城くんと婚活サイトでマッチングし、(半ば強制的に)結婚することになりました。
「いい天気ですね」
「ソウデスネ」
快晴の空が眩しい、大安吉日の土曜日。藤城くんにプロポーズされた日から3日後、一緒に役所に婚姻届を提出することになりました。
いくらなんでも展開が早過ぎるー。
「ご結婚おめでとうございます!こちらは市からのお祝いの品でございます」
結婚届を受理した担当職員からよくわからんマスコットキャラのボールペンやらメモ帳やらを貰って、ものの5分で手続きが完了した。
「意外と呆気ないものでしたね」
「そうね…」
アッサリと手続きが終わり、拍子抜けする。
私、本当にこの人と結婚したんだよな?というくらい現実味がわかない。
「さて、と。ではこれから、新居に向かいますか」
「え?新居?」
「ええ。カモフラージュの為にしばらくの間そこで生活していただきます」
てっきり別居だと思っていたので、何も用意していないし心の準備もしていない。
しかし予め彼が呼んでいたタクシーに乗せられ、あれよあれよと言う間に新しい家へ着いた。
「こちらです」
タクシーが停まったのは都内の一等地にある超高層マンションだった。
一般庶民には馴染みがなさすぎて「わ〜おっき〜」という月並みの感想しか出てこない。
「20歳の誕生日に親がプレゼントしてくれて。会社から少し遠いので、売り飛ばそうかと思っていたんですがちょうどよかったです」
「そうなんだー」
もはや何も驚かないし、ツッコんだら負けだと心を無にする。
部屋の中に入るとやっぱりというか予想通りの光景が広がっていた。
「こちらがバスとトイレ、こちらがリビングです」
ここは帝国ホテルのスウィートルームか何かか??ってくらい二人で生活するには十分過ぎるほどの広さと質のいいインテリアに囲まれていた。
しかし、問題はそこではない。
「ちなみに、寝室は別々よね?」
「1つしかないですけど」
ドン!!!
思わず、高給マンションの壁を殴ってしまった。
騙された…やっぱりこんなうまい話があるわけがないんだ…今から私はこの人に乱暴されてしまうんだ…と打ちひしがれていると、まるで悪戯が成功した子供のように藤城くんは笑っていた。
「冗談です。あなたの部屋は別に用意してありますよ」
「へ」
家を出て直ぐ隣の部屋に案内され、呆然とする。
全く同じ間取りの部屋が2つ。
それってつまりー。
「もしかして…このマンション全部…」
「はい。僕が大家なので、家賃も光熱費も全てタダです」
「これからどうぞよろしくお願いします!!!」
掌を凄い勢いでひっくり返す。
どうやら私は、めちゃくちゃ“コスパ”のいいSSRの結婚相手を引き当ててしまったらしい。