入れかわりクラスカースト
赤い。
ぼんやりと、温かな光に包み込まれていた。
薄っすら目を開けると、ぱちぱちと何かが弾ける音が聞こえてくる。
どうやら机に突っ伏して寝てしまったようで、足元にはまだ夕子が転がっていて…?
辺りは、火の海だった。
「えっ…!」
酔いは醒め切っているのに、立ち上がることができない。
その頃になってようやく、肌が熱さを感知し始める。
「…熱い」
どこからか、遠くからサイレンが聞こえていた。
「あぁああっ、ああっ!」
のっそりと体を持ち上げ、すぐ近くのドアに──。
あ、開かない!
開かない!
「ゆ、夕子っ…!」
倒れている娘を揺り起こすのは、助けようとしたんじゃない。
夕子に、なんとかしてもらおうと思ったんだ。
いつも夕子があたしの世話をしてくれた。
あたしのご飯を作り、酒を買ってきては、気に入らないと殴られる。
すべて夕子が受け止めてくれた。
だから今も、この子があたしのことを助けてくれるはず。
だって、あたしの娘なんだから…。
「夕子!お、起きて!」
しかし、どれだけ揺さぶっても、この時ばかりは目を覚さなかったんだ。