愛の距離がハカレナイ
不思議そうな顔をする香澄に私は慌てて財布を出す。

「昼から少し遅れるかもしれない。お願い、南川課長にうまく言っておいて。」

「ど…、どういう事?」

香澄が今度は目をきょろきょろさせる。

「私もよく分からないんだけど…。」

そして私は席を立つ。

「祐介がこっちに来ているらしいの。ちょっと行ってくる。」

「はっ?」

私はポカンとしている香澄を置いて、店を出た。

慌てて会社まで戻る。

「一体どういうことなのよ。こっちに来る予定があるなら、昨日話してくれたらいいのに…。」

私はブツブツと文句を言いながら、力の限り走る。

「もう、全速力なんて30歳にはきついんだから。」

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