愛の距離がハカレナイ

私は自分の手が止まっている事に気が付いた。

いや、それどころかその手はまだ動き出していなかったのだ。

「ごめん、今日は‥、よっ、用事があるの。」

チラリと水島の顔が浮かぶ。

香澄はその答えにニッコリと笑った。

「悪い事ではなさそうだからいいか。」

「えっ？」

「水島と何かあったんだ。」

香澄にはすっかり見透かされてしまったようだ。

「うん、告白された…。」

「さっきの打ち合わせの後で？」

こそこそとしゃべりながら、香澄はそっと水島の方を伺っている。

うなずく私の様子を香澄は確認した後、こう言った。

「やっとか。良かったね。」