愛の距離がハカレナイ
就業前のほんのひととき。

これが定時を過ぎると、慌ただしい一日が始まるのだ。

「水島の身体はどうだった?」

「あのね…、香澄。」

「だってそういう事だよね。」

私は大きな溜息をつく。

こういう時の香澄は手強い。

自分の事は全くなのに。

「おはよう、武田さん。始業にはちょっと早いんだけど良いかな?」

私はびっくりして、声が裏返ってしまった。

「あっ、おはようございます。朝から急ぎの仕事でもありましたか?」

私は香澄と目で合図を送り合うと、自分の顔を仕事の表情にする。

「ああ、これを見て欲しいんだけどね。」

その声の主、南川課長は書類を差し出した。

< 33 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop