愛の距離がハカレナイ
「武田さん。顔を上げて。」

少し慌てているような南川課長の声。

私はゆっくりと顔を上げた。

「せっかく仕事で組むようになったんだから、もう少し肩の力を抜いて私と接してくれるようになると嬉しいんだが。」

「そんな…、恐れ多いです。」

私は首を何度も横に振った。

「でもそんな調子じゃあ、いつまでたっても疲れが取れないままだろう。それに…。」

南川課長はニッコリと笑った。

「仕事についてもっと意見を投げかけて欲しい。それには私達にはもっと会話が必要だろう。」

段々南川課長が何を言いたいのか分からなくなって来た。

「だから食事に行く事を拒否しないでくれ。」

ああ…、頭の良い人は凄い。

私なんてこうやって、簡単に周りから固められてしまう。

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