愛の距離がハカレナイ
「水島から聞いていなかったのか?私はてっきり…。」

「聞いていません。」

そうか、これは祐介にとって大きなチャンス。

本当は一緒に喜ぶべきなんだろうけど…。

このもやもやとした気持ちはどこから来ているんだろう。

私は表情をがらりと変えた。

「凄いですね。同期ではアジアへの異動は初めてかな。」

私はうっすらと表情を緩める事しか出来ない。

南川課長はそんな私の様子を伺っているようだ。

「…君たちは…、そういう大事な事を真っ先に伝えあう間柄じゃないのか?」

南川課長の言い方が何だか回りくどい。

「どういう意味ですか?」

「いや…、私の思い違いならそれに越したことはないのだが…。」

南川課長の目に力が入った。

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