愛の距離がハカレナイ
少し間をおいて、南川課長は私の顔を覗き込んだ。

「…いえ…。」

「武田さん、私は君を大切に思っている。」

今日の南川課長は一体どうしてしまったんだろう。

「ちゃんと水島に聞いてみるんだな。」

「えっ?」

南川課長の眼鏡が鈍い光を放ったように見えたのは、気のせいだろうか。

「どうしてそんな大切な話をすぐに君にしなかったのか。」

すると南川課長は人差し指で眼鏡を上げた。

「きっと私の方が武田さんを必要としている。」

南川課長は私に背を向けると、取引会社へ向かって歩いて行く。

立ち尽くしていた私は我に返ると、慌ててその後を追いかけた。











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