愛の距離がハカレナイ
「南川課長と何かあったの?」

パソコンをたたいている香澄の手がスローダウンしたように感じた。

「ううん、どうも今日は南川課長とペースが合わないみたい。」

私は仕方なく苦笑いをする。

「そうかな…。阿里というより南川課長がいつもと違う感じがする。」

「どういう風に?」

そう聞いたのは私ではなくて、南川課長だった。

「すいません、悪い意味で言ったわけではなくて…。」

香澄はごにょごにょと言いながら、自分の席に戻って行った。

南川課長は香澄にゆっくりと微笑むと、私のそばで身をかがめた。

「いつものように仕事をしてくれないと、私が落ち着かない。」

「南川課長?」

「水島ではなく、私に集中して欲しい。」

何か痛い所を突かれたような気がした。

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