愛の距離がハカレナイ
私の箸が止まる。

一体どうして、こうも次から次へと自分に対処不可能な事が起こるんだろう。

「…すまない。私自身が自分に自然に沸き起こってくる気持ちに戸惑っている。でもそれを冷静に突き詰めていくと、そういう答えになった。」

私の気持ちが揺れ動く。

「武田さんを半ば強引に私と仕事で組ませ、水島を転勤に追いやった。いつもの自分からは想定できない。」

南川課長の戸惑ったその表情。

私は思わずゆったりと微笑む。

「仕事で完璧な南川課長でもそんな顔をされるんですね。」

そう、今の目の前の南川課長の様子の中に私の心理状態が透けて見えるようだ。

「…南川課長のお気持ちは嬉しいですが…、私は水島祐介とお付き合いを始めたところなんです。」

肩の力がスッと抜けて、私はポツリポツリと自分の気持ちを話し始める。

「でも…、近くに居るはずなのに、水島が…、何を考えているのか分かりません。私には全部隠さずに話せというのに…。」

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