ロミオは、愛を奏でる。
眠れなかった
リョーちゃん
約束覚えてなさそうだった
それとも
リョーちゃんにはいい人がいて
イトに諦めさせたかった?
リョーちゃん!
咄嗟に呼び止めた
…元気でね…
ホントは
もっと違うことを言おうとした
リョーちゃん!
行かないでよ
イトを置いてかないで…
リョーちゃん
ドキドキしたよ
リョーちゃん
好きだよ
リョーちゃん
今、彼女いるの?
リョーちゃん
20歳の約束忘れた?
イト、キャリアウーマンになんか
なりたくない
イトは
リョーちゃんの彼女になりたい
全部言えなかった
何も聞けなかった
リョーちゃんは
ただ酔ってただけで
イトを抱きしめた意味なんてなくて
ドキドキしたのはイトだけだった
ドキドキしてる自分に言い聞かせた
ゆっくり胸の音が静かになって
それから
違う音がした
ズキン…
きっとリョーちゃんは
向こうに彼女がいて
その人と結婚するのかもしれない
外国の人?
それとも同じ会社の人?
どんな人かな?
きっとイトと違って
大人っぽくて美人でスタイルのいい人
それとも
珠莉ちゃんみたいに
優しくてかわいい人かな…
きっと
イトみたいな子供じゃない
眠れなくて
リョーちゃんの架空の彼女が
イトの中で出来上がった
ズキ…ズキ…ズキン…って
胸が痛かった