ロミオは、愛を奏でる。

トントン…







「はい…」



「イト?」



リョーちゃんの声



「…リョーちゃん?」



リオちゃんと行ったはずなのに…



「起きてたみたいだから、寄った
…入るよ」



え、気付かれてた?



「う、うん…」



ガチャ…



「休みなのに早起きじゃん、イト」



恥ずかしくて

リョーちゃんをちゃんと見れなかった



「起きてたのに、ごめんね…
ちゃんと見送ればよかったけど…
昨日リョーちゃんが
見送らなくていいって言ったから…」



カーテンの隙間から見てた痛い言い訳



ホントは

見送りたかったけど恥ずかしくて

見送ったら泣きそうで

でもリョーちゃんが好きだから

カーテンの隙間から見てた



こっちも痛い



「イト、どこか行くの?
もしかして、デート?」



「ん?んーん…どこも行かないよ」



イトはずっとここにいるよ

リョーちゃんはもぉ行っちゃうのに…



切なくて言葉がつまる



「なんだ…
かわいくしてるからさ」



ドキン…



リョーちゃんをここから見送るために

ただそれだけのために

かわいくしたの



リョーちゃんは

いつもちゃんと見ててくれる



「かわいい?」



「うん、かわいいよ」



ドキン…



熱くなる

バカみたい



「あ!リョーちゃん
飛行機の時間大丈夫?間に合うの?
ごめんね、時間ないのに話しかけちゃって」



ホントは行かないでほしいのに

恥ずかしくてそんなことを言った



リョーちゃんが時計を見た



「んー…もぉ間に合わないかも…」



「え!?じゃあ大変!」



「ウソ…
夕方の飛行機だから大丈夫」



「なんだ…それならよかった」



「帰る前に買い物して行こうかなって思って…
イト、せっかくかわいくしてるし
買い物付き合ってよ
こっち久々だから案内してよ!」



「え、うん…いいけど…」



リョーちゃんと

まだ一緒にいれる


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