また君と恋する

12

中学2年生の7月初旬。

たまたま近くにいたという理由で体育着に着替えさせられ先生に連れてこられたプールには、十数名の生徒が集まっていた。

『これから大掃除するよ』

なんて満開の笑顔を咲かせる先生に怒りさえ湧いたけど。

プールに着くなり怒りは消え、むしろ感謝することになる。

だって早瀬君もいたから。

あー、先生様。ありがとう。

クラス違うし関わりないから、こういう機会がないと近くにいれないんだもん。

……まあ、話しかける勇気はないんだけどね。


きゃっきゃっと賑やかな声が空に響く。

早瀬君は友達の広田君と楽しそうに掃除し、少し離れた場所で私はクラスメイトとブラシで磨く。

いつも遠くから見ているだけだったから、一緒の空間にいるだけで近く感じる。

ふと。

「早瀬ー」
< 288 / 475 >

この作品をシェア

pagetop