また君と恋する
それから由麻は喋らなかった。

気を紛らわせようとテレビを観る。

タレントが笑っているけど、途中から観た俺には何が面白いのか分からない。

すると、肩に重みを感じた。

きっとどっと疲れが押し寄せてきたんだろう。

由麻は俺にもたれかかって眠っていた。

スヤスヤと小さく寝息を立てる由麻。

安心してんのか、無防備なのか。

それが愛おしく。やばい、と思った時にはもう目を背けていた。

ったく、人の気も知らないで。

俺は由麻の言葉を思い出した。

『姉妹でも結構分かってないものだね』

それは俺と由麻の間にも言える。
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