願いだらけの私から君へ
一組は5時間目、図書館で。
二組は体育でグランドに行っていた。
 みんなが敵に見えて怖くなった。
 図書館ではほとんどやる気になれず、教科書に落書きをしていた。
 すると私の隣にいた先生に向かって歩いてくる初樹がいた。 
 思わずじっと見てしまう。いつでもカッコイイなと。
「先生、教科書貸して」
「え…今ないんだよね…」
先生は困ったように言った。キョロキョロして教科書を探している気がした。先生が見つけた!という顔をしたようだから、すぐに教科書を持ち初樹に貸そうと思い、渡した。そしたら軽く笑って「あざーす」と言った。
 なんか心が落ち着くな。
 初樹だけ敵に見えないな。
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