極上パイロットの赤ちゃんを溺愛初夜で宿しました

それからの展開も、結婚を決めたときと同様にめまぐるしかった。
その日のうちに翔が美羽の家を訪れ、大晴に挨拶。マサチューセッツにいる両親にはテレビ電話で「美羽さんを僕にください」と許しを乞い、驚かれながらもめでたく了承を得た。

なにしろ父親も憧れを抱いているパイロット。素晴らしい人を捕まえたと、両親も大晴も手放しで喜んでいた。

ただひとつ、彼との家柄の違いを不安視されたが、それは翔の「心配はいりません」との力強いひと言で取り払われた。

その数日後には翔の両親に会い、難なく受け入れられたのは拍子抜けするほど。彼らは良家の令嬢との結婚を特別に望んでいたわけではなく、翔に早く落ち着いてもらいたかったのだという。

同じ職場の美羽ならパイロットという不規則な生活にも理解があるだろうと、逆に大歓迎された。

どちらの家族に対しても嘘をついている後ろめたさはあるが、美羽の結婚には兄の幸せがかかっている。ここで怯んではいられないと心を強く持った。

結婚式は落ち着いてからゆっくり準備を進めると両親を説得し、ふたりは即日入籍。すぐに結婚できる魔法があればいいのにと願ったとおり、まさに一瞬の出来事である。

こうして藤倉美羽は、晴れて本郷美羽となった。

その二カ月後に想定外の事態に発展するとも知らずに――。
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