販売員だって恋します
そこのバイヤールームの室長をしているのだが、この笹塚夫婦はそのバイヤールームの部下なのである。

『よろしくお願いしまーす!』
と笑顔で、麦わら帽子を被った夏休みの小学生のような笹塚の奥さんに、空港でご挨拶された時は何事かと思った。

しかしこれでも、とても優秀なバイヤーなのだと聞いて、はあ……と返事を返した、末森と、由佳である。

「由佳、私はこういう時に諸行無常を感じるのよね。」

飛行機の中でも、ラブラブな笹塚夫婦の姿が見える。
「結婚式もあるけど、ビーチで遊ぼうねーっ。」
「傘のついたドリンク飲みたい……。」
「じゃあ、それも頼もうね。」

見ていて微笑ましいものはあるが、末森は複雑らしい。

「羨ましいけど、なぜ私はそういう幸せを掴めないのかなぁって……」

目が完全に遠くなっている。
向かう先が南国リゾートであれば、尚更だ。

由佳も公表はしていないものの、お付き合いしている相手と一緒なのだし。
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