販売員だって恋します
こんな風に言葉にされる事は、それだけ見られていると言うことで。

そんなに、見ないで……。

顔を隠してしまいたいから、両腕を拘束されたままの状態で、隠せるところだけを隠す。
大藤が、ふ……と笑う気配。

正直に言ったら、由佳はキスだけで蕩けそうだった。
なのに気持ちいいところを優しく、たくさん触ったりするし、声を出してとか、それに大藤の冷静さも含んだ目で見られると、鼓動が激しくなる。

声を聞かれている。
見られていると思うと、息がどんどん乱れていくのを止めることもできないから。

「ねえ、由佳?いやとか恥ずかしい、とか、その姿見られて興奮しているんじゃないですか?」

ほら……と大藤の指が隘路の中にするっと埋められるのを感じる。
まるで、待っていたかのように自分の中がキュッとなるのが分かって、くすっと笑った低い声に由佳は泣きそうだ。

「由佳のココすごくいい。指を入れると、ぬるぬるしてて、絡みついてくるんです。熱くて柔らかくて正直だ。」
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