憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
「流石というか、アルマはしっかりしているね。きちんと受け入れようとしている。偉いよ」
すぅすぅと規則正しい寝息を立てるアルマの髪をさらさらと撫でながら、ユーリが呟く。
「今まで眼中にも無かったんだから大躍進だと思う事にするさ」
そう、何せ今まで自分はユーリのおまけで、喧嘩相手のような存在だったのだ、そこから少しでも男として見てもらえたなら、きっかけがどうであろうと何でも良かった。
「ところでさぁ、ジェイドの気持ちは彼女知っているの?」
ワインボトルから残りのワインを互いに注ぎあってもう一度腰を落ち着けたユーリが首を傾ける。
それについては、後ろめたくて反射的に視線を逸らした。
「え、まさか言ってないのか?」
目を丸くして、呆れたように聞いてくるユーリをチラリと見て、ため息を吐く。
「いや、それについては…明確には伝えていない気がする…あの晩は、なんかもう色々必死で」
言わねばならないと、彼女の部屋に入るまでは思っていたのだ、しかしいざ彼女を目の前にしてみれば、彼女は自分の失恋のショックでそれどころではない様子だった。
おまけに…。
彼女を慰めるために胸を貸してみれば、想像以上に柔らかい感触と甘い彼女の香りに、身体が反応してしまいそうで、耐えるのに必死だったのだ。
泣き顔もそれはそれは可愛くて…寝巻き姿の上、下着をつけていなかった。
とにかく、紳士的に彼女に自分を見てほしいと伝えるだけで必死だった。さっさとユーリを部屋に呼ばなければ、いつか押し倒す!そんな危うい状況だったのだ。
「タイミングをみて…きちんと話す」
ユーリの視線が痛くて、ポツリと呟く。
「それがいい。」
少し冷ややかな声で念を押された。
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