憧れの陛下との新婚初夜に、王弟がやってきた!?
結局その場は身支度のために私が侍女達によって部屋から引っ張り出されることによって終息を迎えた。

私とジェイドは最後まで互いに睨み合ったままだった


「本当にムカつく、さっきまで本当にいい気分だったのに。
ジェイドのおかげで台無しよ!」

そんな事をブツブツ言っていると、私の髪のほつれを直していた侍女のアイシャがクスクスと笑う


「本当に昔からお2人とも仲がよろしくて」

「どこが?私は苛立っているのよ?」

「喧嘩するほどなんとやらというではありませんか?」

「それ、絶対違うと思うのよね!」

ふんと鼻で息を吐く、腹は立ちこそすれ、打算抜きで仲良くしようなどとはどちらも思い至らないのだろう。

そう先ほどの再会のやりとり、あそこまではそれぞれ打算で上手く行っていたのだ。

礼儀正しく可憐な花嫁と、紳士的な義弟

互いにそれぞれ大人だからときちんと対応していた。


それを壊したのは、彼の短気だ。

あちらの言い分はきっと私の無神経さだと言い返されるのだろうが。

「外見が、大人になっていかに色気をつけても、やっぱり奴は奴のままだったわ!同じ兄弟でなぜあんなに陛下と物腰がちがうの!?」

「そう言えば王弟殿下の色気に当てられた令嬢達が早速色めきたっているご様子でしたわ。ほら殿下、戦争で従軍されて、終戦してからも数年、軍のお仕事で辺境へ行ってらしたでしょう?あのように素敵になられて戻ってこられたので無理もありませんわねぇ」

パチンと髪留めを止めたアイシャは、そのまま私の化粧直しにとりかかる。


アイシャは幼い頃から私についていた侍女で、年は私よりも10ほど上だ。
私はもちろん、幼い頃から交流のあった陛下やジェイドのこともよく知っているから、あんな色気を纏って戻ってきた彼の姿に、親心というか、姉心というか、、、とにかく感慨深いものがあるらしい。

「たしかに、、、それはそうだけど、でも中身は全然変わってなかったわ!意地悪ジェイドのままよ!あぁこれから、毎日顔を見ることになるのね!」

きっと毎日事あるごとに嫌味を言われてイライラするのだ。冗談じゃない。

私は陛下と甘い甘い新婚生活を送りたいのに!!


「ですがお嬢様が素を出せるのも、昔から王弟殿下だけではございません?王宮での生活は随分と息が詰まるものですから、そう言う方がお一人でもいてくださるのも良いかと思いますが?」

しれっとアイシャはいうけれど、
そういう方って、要はサンドバッグという事なのか?それは流石に王弟殿下に対してどうなのか、、、とも思うけど、、、


「私は武道を極めに入門するわけじゃないのよ!愛しい旦那様と甘い生活を送って、愛しい方の子を産んで幸せになるの~サンドバッグなんていらないんだからぁ!!」
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