涙の涸れる日
「そうだ。迷惑でなければ携帯番号を教えてもらえないかな? 警察署から何か連絡が入ったら一緒に行けるし」

「あぁ、そうですね。良いですよ」

 さっき渡したお互いの名刺に携帯番号を書いた。

「良い連絡が入ると良いね」

「はい。あのおばあさん少しだけ祖母に雰囲気が似ていて」

「そうなんだ」

「祖母の着物に色合いが似てるなって思って見てたから倒れるのに気が付いたんです」

「おばあさんは、いつも着物なの?」

「はい。お茶の先生をしてて、自宅の茶室で教えているんです。そんなに沢山の方にではないですけど」

「君もお茶を習ってるの?」

「中学生くらいまでかな? 美味しい和菓子につられて少しだけですけどね」

 恥ずかしそうに笑う顔に見惚れた。

 こんな再会もあるんだ。
 生きてて良かった。大袈裟ではなく本気で。
 世界中のいや宇宙の果てまで存在するのかも分からない神に感謝したい気持ちだった。

「そろそろ会社に戻らないといけないよね」

「あっ。はい」

「ここは奢るから」

「いえ。私の分は出しますから」
こんなところまで律儀な彼女に

「俺は先輩なんだから、これくらいはね」

「ありがとうございます。ごちそうさまでした」

 カフェを出て地下鉄の駅に向かう彼女の後ろ姿を見ていた。


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