涙の涸れる日
「後片付け、終わりました」

「ありがとう。そう言えば昨日、凌太が来てね。紗耶の荷物だからってたくさん置いて行ったわよ」

「荷物?」

「隣の和室、見てご覧なさい」

 和室の襖を開けて驚いた。ショップバッグが並んでる。

「これ、お兄ちゃんが?」

「紗耶が必要だろうからって」

 開けて見たら、ワンピースや家着、下着や化粧品が……。またあのショップに買いに行ってくれたんだ。態々ここまで届けてくれるなんて……。

「凌太もすっかり良い男になったわね。若い頃の俊輔さんに良く似てきたわ」

「お父さんも若い頃、イケメンだったの?」

「ええ。それに優しくてね。涼子をとても大切にしてくれてたわよ」

「そうなんだ。お父さんとお母さん、相思相愛のカップルだったのね」

「そうよ。とてもお似合いの二人だったわね。紗耶、お風呂入ってらっしゃい」

「うん。そうしようかな。着替えもたくさんあるし」
その前に兄にラインを入れた。
『着替えありがとう。優しいお兄ちゃんに感謝します♡♡♡』


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