涙の涸れる日
その後のSTORY

画家 佐伯煌亮

 五年後、株主総会で帰国した時に、二人が結婚した古城の絵を父親にプレゼントした。

 父親はとても喜んでくれて、その絵は佐伯商事の社長室に飾られている。

 社長室には信頼出来る人間しか通さない。

 絵画好きな父親の友人が煌亮の絵を気に入って知り合いの画商に依頼してイギリスまで買い付けにも来てくれるようになった。

 日本の画廊でも煌亮の絵が飾られるようになる。




 七年目には東京の画廊で個展も開催される程になった。

 個展には、家族、友人だけではなく、煌亮の絵のファンもたくさん訪れ盛況で殆どの絵は買い手が決まる程だった。

「煌亮、良く頑張ったな」
との父親の言葉に

「いえ。まだまだです。生涯描き続ける内の、ほんの数年が経っただけですから」

「紗耶ちゃん。ありがとう。煌亮を支えてくれて感謝しているよ」

「いいえ。私はただ傍に居るだけですから」
紗耶の笑顔は周りの全ての人を和ませる。

「それが煌亮には何よりのサポートなんだよ」

「紗耶が居なかったら、僕は絵は描けても、画家にはなれなかったと思ってるよ」

「いいえ。煌亮さんには生涯、画家で居ていただきますからね」
見つめ合う二人には愛情が溢れていた。






 煌亮と紗耶が結婚してイギリスに住むようになって十年の月日が経とうとしていた。

 煌亮は主にイギリスの風景を描く画家として知名度も上がってきている。

 どの風景にも愛して止まない想いが溢れていると世界中の美術評論家は絶讃した。

 アトリエにはイギリス、日本は言うに及ばず、世界中の一流の画商が煌亮の風景画を買い付けに来るようになっていた。



 煌亮はどんなに気に入った作品でも風景画を売る事に躊躇も抵抗もない。
 気に入って飾ってくださる方に感謝している。





 そんな煌亮にも、どんなに望まれても手放すつもりのない絵があった。



 イギリスに来て最初に描いた紗耶の絵だけは……。

 生涯煌亮の手元に大切に置かれていた。




    
       E n d








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